低血圧の辛さはなぜわかってもらえないのか
一般的には、低血圧よりも高血圧のほうがより命にかかわるイメージがあるようです。臨床現場においても高血圧についての研究が蓄積されていく一方で低血圧のほうはまだまだ研究途上の状態にあり、「たんに血圧が低い状態」としてさほど重要視していない医師もいるほどです。このようになかなか辛さがわかってもらえない低血圧ですが、放置しつづけると最悪の場合は臓器不全によって死に至る可能性もあり、決して軽視してはならない疾患として現在では対策が進められています。
命に関わる病気ではないから
低血圧は元来、命にかかわらない疾患として扱われてきました。実際、血圧が低いことが直接の原因となって死に至るケースはきわめて稀であり、その意味では脳疾患の原因になり得る高血圧のほうに研究のエネルギーが注がれるのは当然の帰結かもしれません。しかしながら、最近の医学的研究で「低血圧と単に血圧が低い状態は違う」ということが明らかになっており、場合によっては死に至るケースもあることが理解されるようになってきました。血液は本来、全身をめぐって体を温めるとともに細胞の隅々まで栄養素を送り届ける役割を担っています。つまり、低血圧によってポンプが弱まっているということは必要な部分に必要な栄養分が行き届かないということであり、わかりやすい表現に直せば全身が慢性的なエネルギー不足に陥っているのと同じ状態であると言えます。低血圧によって引き起こされる諸々の辛さはこの虚脱状態からくるものであり、血圧を正常化することによって全身のエネルギー不足が解消され、低血圧特有の辛さもやわらげることができるのです。
症状が出たとしても、日常生活を過ごせることが多いから
リウマチ、脳梗塞、パーキンソン病など、日常生活に支障をきたすほど重篤化する疾患は挙げればきりがありません。高血圧はそのうちの多くの原因として深く関係していることが医学的にも明らかにされており、体系化されたエビデンスが長いスパンにわたって蓄積されています。一方の低血圧はよほど悪化しないかぎりは軽度のめまいや立ちくらみ程度で表面上は症状がおさまることから、これまで医学的にも正面から対策に取り組まれることはなく、周辺症状による辛さをやわらげるアプローチが精一杯でした。しかし、前述のように低血圧は「体がエネルギー不足のまま無理やり動いている状態」であり、放置すると全身のあらゆる血管や臓器に大きな負荷をかける恐ろしい疾患です。まずはその事実を重く受けとめていただき、そのうえで血圧コントロールの重要性を深く理解することが重要であると考えています。日常生活で特段辛さを感じていなくても、時折めまいや立ちくらみ、ひどい冷え症などを自覚する場合は血圧が異常に低いことが考えられますので、専門知識をもった医師に相談するようにしましょう。
同じ低血圧でも人によって個人差があるから
症状に個人差が大きいことも、低血圧の辛さを見えにくくしている原因のひとつです。現代医学では高血圧のほうをとくに問題視する傾向にあり、血圧が規定値を少しでも上まわると降圧剤が処方されますが、血圧が規定値よりも下まわったとしてもそれは「高血圧ではない状態」として、治療の対象にならないことがほとんどです。しかし、実際には血圧が規定値よりも低いことで死亡リスクを高めている人は多く、医学的にも決して見過ごしてはいけない疾患のひとつとして認識されつつあります。とくに起立性低血圧などは本人も予測できないタイミングでめまいや立ちくらみに襲われる疾患であり、転倒したはずみで頭をうちつけて死に至るリスクもゼロとは言い切れません。確かに個人差の大きい疾患ではありますが、その根底にある状態は共通しています。日常のささいな辛さを決して軽視せず、重篤化する前に医療機関を受診することで命の危険を遠ざけることができるかもしれません。
まとめ
高血圧と違って辛さが理解してもらいにくいのが血圧が低い人の特徴です。かつては「血圧は低いほど健康である」とまで考えられていた時代がありましたが、近年では慢性的な臓器不全を引き起こす深刻な疾患として治療の対象と見なされるようになってきました。低血圧と言っても軽く見るのではなく、日常生活に支障がでないうちに、定期的に医療機関へあたるようにすると良いでしょう。
※本文参考資料
「起立性低血圧」河野 律子, 荻ノ沢 泰司,渡部 太一,安部 治彦
「重度起立性低血圧に対する理学療法アプローチの一考察」岡本 貴幸, 藤沢 美由紀, 阿部 泰昌
「重度起立性低血圧症患者のTilt Tableでの血圧変化」中村 重敏, 齋藤 慎也, 松岡 文三, 伊藤 倫之, 美津島 隆



最高血圧:94mmHg
最低血圧:58mmHg
でも、低血圧対策としてサプリを飲み始めサプリを飲んでてからは、スッキリ目覚められるようになりました^^
